なぜそうなるか
鍵開けの広告の「○○円~」は、うのみにしない——消費者庁は「訪問を依頼したからといって契約しないといけないわけではありません」と書いていました
夜、玄関の前で鞄の中を探しても、鍵が見つからない。スマートフォンで「鍵 開けて」と検索すると、安い金額を大きく出した広告がいくつも並ぶ。
家に入りたい一心で、いちばん上に出た番号に電話をかける。電話口の人は、料金は現地で伝えますと言う。
しばらくして作業員が来て、鍵を見て、作業が始まる。終わってから渡された紙の金額は、広告で見た数字とは桁が違っていた。
こうした相談は、国民生活センターにも消費者庁にも届いてきました。2024年11月には、国民生活センターが出張解錠サービスの料金トラブルとして発表を出しました。
消費者庁も、鍵開けのトラブルについて、消費者に向けた資料を公開しています。どちらの資料にも、広告の金額と請求の額の開きについて、呼びかけが書かれています。
そこで、国民生活センターの発表と消費者庁の資料を開き、書かれていることを原文のまま並べました。業者を選ぶための記事ではなく、料金の額も扱いません。手元の請求がどの決まりに当たるかは、お住まいの地域の消費生活センターで確かめてください。
・国民生活センターの相談事例では、「解錠で2,000円~」の表示を見て呼んだ業者から、作業のあとに約10万円を請求されていた
・国民生活センターは、「○○円~」などの安価な金額表示はうのみにしないよう呼びかけている
・消費者庁の資料は、訪問を依頼しても契約しなければならないわけではない、と書いている
・納得できない請求は、その場で払わず、後日納得した金額で払う意思を示すよう勧めている
・日頃の備えとして、持っている鍵の種類を確かめ、賃貸なら管理会社の対応を聞いておくよう書いている
相談の中で、何が起きていたの?
広告の金額と、実際に払った額は、どれくらい違っていた?
国民生活センターの発表に載っている、2024年4月に受け付けた相談です。鍵をなくしたことに気づいたあと、検索で業者を見つけたところから始まります。
スマートフォンで解錠サービスを検索してみつけた事業者のホームページには、「見積もりは無料」「解錠で2,000円~」と表示されていた。
電話をかけると、料金は現地で伝えると言われました。その先の流れが、次の一文です。
料金が知らされないまま作業が進み、終わってから金額が示されたという順番が、この事例の芯です。約1時間30分後に担当者が来て、鍵の種類を確認し作業に入ったが、事前に料金が知らされることはなく、作業が終わってから約10万円を請求された。
同じ発表のもう一つの事例は、オートロックのマンションで締め出された人の相談でした。電話口での説明は、次のとおりでした。
電話口で、基本料金は8,000円だが解錠料金は鍵の種類によってその場での見積もりになると説明された。
消費者庁の資料は、どう書いている?
消費者庁の資料「予想外に高額な請求をする鍵開け業者にご注意を!」は、冒頭でトラブルの形をまとめていました。
鍵開け業者のウェブサイト広告には、数千円程度からの安価な作業料金を表示しているものの、実際には作業員が現場に来ると、数万円~数十万円もの高額な作業料金を請求されるというトラブルが多く発生しています。
資料は、広告の出し方そのものにも目を向けます。
下限だけの表示や、幅の広すぎる料金設定を、消費者庁は注意の手がかりとして挙げている、と読めます。ウェブサイトに安価な作業料金の下限だけや、あまりに幅の広い料金設定が掲載されているような場合には、高額請求の可能性が隠れています。
業者を呼ぶ前に、何を確かめればいいの?
電話をかける前に、できることはある?
国民生活センターの「消費者へのアドバイス」の、依頼の前についての部分です。
「○○円~」などの安価な金額表示はうのみにしないようにしましょう。また、出張料やキャンセルした場合の金額も確認をしましょう。
最初に連絡する先について、消費者庁の資料はこう書きます。
検索の前に、管理会社や不動産屋に連絡するという順番は、賃貸住宅に住む人に向けた呼びかけとして読めます。持ち家の場合にどこへ連絡するかは、資料には書かれていません。自宅等の鍵をなくすと焦ってしまいがち・・・まずは落ち着いて、管理会社や不動産屋に相談しましょう。
現場で高い金額を示されたら、どうすればいいの?
業者が来てしまったら、もう断れない?
消費者庁の資料の、2つ目のポイントの書き出しです。
訪問を依頼したからといって契約しないといけないわけではありません
同じポイントには、ほかの手段も並びます。
一旦、近くのホテルや一時的に泊まれる場所を探してみる、地域に根ざした他の業者にも料金を確認するなど、他の手段も検討しましょう。
作業のあとに請求を受けた場合の動き方は、国民生活センターのアドバイスにこうあります。
その場で払わずに、後日払う意思を示すという順番が、国民生活センターの書き方です。料金や作業内容に納得できない場合は、後日納得した金額で支払う意思があることを示しつつ、その場での支払いはきっぱり断りましょう。
払ってしまったあとは?
契約したあとの手続きは、この記事の主題ではありません。国民生活センターの発表には、次の一文がありました。
見積もりのために呼んだ事業者とその場で契約した場合、広告などの表示額と実際の請求額が大きく異なる場合などは、特定商取引法の訪問販売によるクーリング・オフなどが適用できる可能性があります。
手元の契約がこれに当たるかは、この記事では判断していません。国民生活センターも消費者庁も、最寄りの消費生活センターか、消費者ホットライン「188」への相談を勧めています。
日頃から、備えておけることはある?
国民生活センターの発表の締めくくりは、日頃の備えです。
緊急時に備えて、持っている鍵の種類やメーカーなどを確認し、信頼のおける事業者の情報を調べておくと安心です。
賃貸住宅についての一文も続きます。
鍵をなくしてから調べ始めると、焦りの中で決めることになります。国民生活センターのこの2文は、そうなる前に済ませておける確認です。また、賃貸住宅の場合は大家や管理会社に、鍵の紛失時にどのような対応をしているか確認しましょう。
この記事で確認したこと
・国民生活センターの事例(2024年4月受付)では、「解錠で2,000円~」の表示を見て呼んだ業者から、作業後に約10万円を請求された
・消費者庁の資料は、数千円程度からの表示に対して、数万円~数十万円を請求されるトラブルが多く発生していると書いている
・国民生活センターは、「○○円~」などの表示をうのみにせず、出張料やキャンセルの金額も確かめるよう勧めている
・消費者庁の資料は、訪問を依頼しても契約しなければならないわけではない、と書いている
・納得できない請求は、その場で払わず、後日納得した金額で払う意思を示すよう国民生活センターは勧めている
よくある質問
広告に「見積もり無料」と書いてあれば、安心ですか
この記事では判断できません。国民生活センターの事例では、「見積もりは無料」「解錠で2,000円~」と表示された業者を呼び、作業の前に料金が知らされないまま、終わってから約10万円を請求されていました。
夜中で、ほかに頼める所が無いときはどうすればいいですか
消費者庁の資料は、近くのホテルや一時的に泊まれる場所を探すこと、地域の他の業者にも料金を確かめることを、ほかの手段として挙げていました。賃貸住宅なら、まず管理会社や不動産屋に連絡するよう書いています。
相談はどこにすればいいですか
国民生活センターと消費者庁の資料は、どちらも消費者ホットライン「188」を案内していました。お住まいの市区町村や都道府県の消費生活センターにつながる、全国共通の番号です。
この整理が変わる条件
- 国民生活センターや消費者庁が、今回読んだ発表や資料を改めたり取り下げたりした場合(本記事は2026年9月26日に読んだもの)
- 特定商取引法の訪問販売やクーリング・オフの扱いが改められた場合
- お住まいの地域の消費生活センターが、違う案内をしている場合
出典
- 独立行政法人国民生活センター「【広告より高額!?】出張解錠サービスの料金トラブルに注意」(2024年11月19日公表) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20241119_1.html
- 消費者庁「予想外に高額な請求をする鍵開け業者にご注意を!」(PDF) https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_transaction_cms203_220225_02.pdf
鍵をなくしたときは、検索の前に、管理会社や消費生活センターの案内を開いてください。
当方が上の出典を引いて確かめた日: