なぜそうなるか

錠を替えるときに見る「CPマーク」は、5分の試験に合格した印——大阪府警は「あらゆる状況で5分以上の侵入を防ぐ性能を保証するものではありません」と書いていました

鍵をなくして、玄関はどうにか開けてもらえた。ほっとしたあとで、別の心配が頭をもたげます。なくした鍵を誰かが拾っていたら、この錠のままで大丈夫だろうか。

錠を替えることを考えて商品を調べ始めると、パッケージやカタログに「CP」と書かれた小さなマークが目に入ります。防犯に強い錠の印らしい、というところまでは想像がつきます。

けれど、その印を誰が決めたのか、何を試した結果なのかまでは、マークを見ただけでは分かりません。「防犯性能が高い」という言葉が、どこまでのことを言っているのかも同じです。

鍵開けの広告の料金の話は、前の記事で国民生活センターと消費者庁の資料から読みました。こちらは、その次に来る「錠をどうするか」のほうの話です。

CPマークの説明は、各地の警察が防犯の頁に載せています。今回開いたのは、大阪府警察の「錠前・ガラス・防犯機器について(CPマークの制定)」と、千葉県警察の「防犯性能の高い建物部品について」の2つの頁です。

この記事では、2つの頁の文を2026年9月27日の時点のまま引きます。どの錠を選ぶか、替えるべきかどうかは、この記事では決めません。

この記事でわかること
・CPマークは、平成16年5月に官民合同会議が定めた共通の標章(大阪府警)
・「防犯性能の高い建物部品目録」に載った部品だけが、CPマークを使える(同)
・防犯性能の基準は、侵入の抵抗時間が5分以上であること(千葉県警)
・錠・シリンダー及びサムターンも、品目の1つに入っている(同)
・CPマークは、あらゆる状況で5分以上の侵入を防ぐことまでは保証しない(大阪府警・千葉県警)

CPマークは、誰が決めた印なの?

CPマークって、どこかのメーカーが勝手に付けている印?

大阪府警の頁は、官民合同会議が平成16年5月に制定したと書いています。

大阪府警の頁の説明は、マークができたいきさつから始まります。

平成16年5月、官民合同会議では「防犯性能の高い建物部品」の普及を促進するため、「共通呼称(防犯建物部品)」と「共通標章(CPマーク)」を制定しました。

その官民合同会議の顔ぶれは、千葉県警の頁で分かります。

警察庁、国土交通省、建物部品関係団体からなる「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」(以下「官民合同会議」と言う)が認定・公表しています。

役所と業界の団体が一緒になった会議で、1社の宣伝用の印ではありません。マークの形の由来も、大阪府警の頁に1行ありました。

「防犯」Crime Preventionの頭文字CPを図案化したものです。

どんな部品なら、CPマークが付けられるの?

防犯を売りにしている錠なら、どれでもマークが付く?

マークを使えるのは、「防犯性能の高い建物部品目録」に載った部品だけです。

名前とマークの使い方について、大阪府警の頁の限り方はこうです。

「防犯性能の高い建物部品目録」に掲載・公表された建物部品のみを「防犯建物部品」と呼び、「CPマーク」の使用が認められるのです。

製品への付け方についても、同じ頁に書かれています。

目録登載の建物部品については、当該製品が「防犯性能の高い建物部品」であることを示すために、当該製品の製造・輸入業者において製品に貼付し、カタログなどに表示します。

目録に載っているかどうかは、大阪府警の頁の案内では、公益財団法人全国防犯協会連合会が運営する目録検索ページで確かめられることになっていました。

千葉県警の頁は、品目を16に分けて並べていました。ドアやサッシ、ガラス、シャッターと並んで、6番目にこの品目があります。

錠・シリンダー及びサムターン

「防犯性能が高い」は、何をもとに決まっているの?

防犯性能が高いって、何を比べて決めているの?

千葉県警の頁は、侵入の抵抗時間が5分以上であることを試験で確かめたもの、と説明しています。

まず、ここでいう防犯性能が何を指すのかです。

官民合同会議では、「建物部品の防犯性能とは、工具類等の侵入器具を用いた侵入行為に対して建物部品が有する抵抗力をいうものとする。」としています。

そのうえで、定義はこうでした。

各省に定められた試験を行い抵抗時間が5分以上であることが確認されたものを「防犯性能が高い建物部品」と定義されています。

なぜ5分なのかについて、千葉県警の頁は、侵入をあきらめる時間を元泥棒に尋ねた資料を引いて、こうまとめています。

つまり、泥棒の攻撃に対し建物部品が「5分」耐えることができれば、約7割の泥棒が侵入をあきらめるということなのです。

CPマークが付いていれば、もう安心なの?

CPマークの錠にすれば、空き巣は入れないってこと?

大阪府警の頁は、あらゆる状況で5分以上の侵入を防ぐ性能を保証するものではありませんと注意しています。

大阪府警の頁の「注意事項」は、1つの文だけの節です。

共通標章は「侵入に5分以上かかれば7割の窃盗被疑者があきらめる」との調査結果に基づき官民合同会議が定めた防犯性能試験に合格したことを示すものですが、あらゆる状況で5分以上の侵入を防ぐ性能を保証するものではありません。

マークが示しているのは、決められた試験に合格したという事実です。どんな手口にも5分耐える、とまでは書かれていません。千葉県警の頁も、マークの説明の下に同じ向きの注意を置いていました。

試験に合格したことと、どんな場面でも破られないこととは、別のことです。2つの頁はどちらも、その2つを分けて書いていました。

この記事で確認したこと

CPマークが示すことと、示さないこと
・CPマーク(共通標章)と「防犯建物部品」の呼び名は、平成16年5月に官民合同会議が制定した(大阪府警)
・官民合同会議は、警察庁・国土交通省・建物部品関係団体からなる(千葉県警)
・目録に掲載・公表された部品だけが「防犯建物部品」と呼ばれ、CPマークを使える(大阪府警)
・防犯性能の高い建物部品は、試験で抵抗時間5分以上が確かめられたもの。錠・シリンダー及びサムターンも品目に入る(千葉県警)
・CPマークは、あらゆる状況で5分以上の侵入を防ぐ性能を保証するものではない(大阪府警)

よくある質問

鍵をなくしたら、錠は替えないといけないのですか

今回読んだ2つの頁は、CPマークと防犯性能の基準を説明したもので、鍵をなくしたときに錠を替えるべきかどうかは書いていませんでした。この記事でも判断していません。賃貸住宅なら、前の記事で読んだ国民生活センターの一文のとおり、管理会社や大家さんの対応を先に確かめてください。

手元の錠にCPマークが付いているかは、どこを見れば分かりますか

大阪府警の頁は、目録に載った製品には製造・輸入業者が製品に貼付し、カタログなどに表示すると書いていました。製品に直接表示する場合は、「2004」の文字を入れない形も使えるとされています。

目録は、どこで調べられますか

大阪府警の頁は、目録の詳細は公益財団法人全国防犯協会連合会が運営する目録検索ページで見るよう案内していました。

この整理が変わる条件


出典

錠を選ぶときは、CPマークを手がかりの1つにしつつ、それが「試験に合格した印」までを示すことを覚えておいてください。

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